ヴィジュアル系主義の講義ノート

読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ヴィジュアル系主義の講義ノート

『全部、妄想なんだ。』@vocal_Kaiの脳内を巡る妄想記録

#003|ヴィジュアル系の定義

やぁやぁ諸君。私はMASKと呼ばれている。この館の住人たちとヴィジュアル系研究に興じる一般貴族だ。
昨日に引き続き、前提の共有に勤しもう。
今日は「ヴィジュアル系の定義」について議論したいと思っている。ぜひ、付き合ってくれたまえ。




ヴィジュアル系を定義づけるのは…?

「何をもってヴィジュアル系とするか?」というのは、ファン同士でもよくかわされる議論なんじゃないだろうか。

「化粧していればヴィジュアル系だ!」
「歌詞が意味わかんなくて叫んでいるバンドのことだよ」
「O-WESTとかAREAとかCYBERとかでライブしてるバンドでしょ?」
「血糊を吐いたりとか…」
「女装してるのに超絶技巧のバンド」
その他にも色々な声が聞こえてくるけれども、どれもあたっているような、そうでもないような気がしないかい??

「パンピの人に問われる度、的確な返答が出来ずに落ち込む」なんて話も聞いたことがある。

さらに、過去に様々な方がヴィジュアル系の定義をしようと試みておられる。
ヴィジュアル系の定義!?ヴィジュアル系について考えてみる! | トレタメ : "共感"するエンタメ情報サイト
【ヴィジュアル系】自分なりの「ヴィジュアル系」の定義に気づいた。V系バンドリスト。 - さわやかトラウマ日記
【「ヴィジュアル系」の定義は”概念”である?】「レコード・コレクターズ増刊 デイヴィット・ボウイ アンソロジー」から : 『日刊ヴィジュアル系の深読み話』

ふむ、非常に興味深いね。
特に、3つ目の「ヴィジュアル系とは概念である」という考え方は私も賛成だ。
ヴィジュアル系とは「概念」であり「思想」でもある。正確に言うのであればその通りだ。
しかしそれを説明して納得してくれる人は非常に少ないだろう。

これを、煙に巻いたような回答で終わらせないためにも、私はこの問に対して「ヴィジュアル系には二重の捩れが必要だ」と答えるようにしているんだ。

この言葉の整合性を確認する為に、いくつかの例を挙げてみようか。

「捩じれ構造」の検証

例えば、下記のようなケースに、ビジュアル系らしさを見いだせないだろうか?

① 男性が、「女性性の象徴である化粧」を施して、イカツイ(男性的な)音楽を見せる。
② 美しいピアノの旋律から一転、ドラムの激しい楽曲に代わり、ピアノの旋律で終わる楽曲構造。
③ 酷く痛ましい歌詞を「笑い」ながら歌う一方で、根底にあるのは「生きろ」というメッセージ。
④「メンヘラーバンギャの心理をバンドマンが歌う」のを見てバンギャが楽しむ。
⑤「日本」人が「英語」歌詞で歌う中に一行だけ、最も伝えたいメッセージを「日本語で」埋め込む。
⑥ 犯罪を批判するために、(被害者側ではなく)狂気めいた犯罪者心理を「肯定的に」歌い、社会への問を投げかける。

上記は全て、「男」のウラに「女らしさ」、そこから更に転じて「男らしさ」を描き出す、といったような、二重のねじれの構造を持っている。
ヴィジュアル系好きでない人からするとまどろっこしいように感じるかもしれないけれど、彼らがただ無駄に遠回りをしているのだと考えるのは短絡的だ。
この手法は「男」が「男らしい」音楽をただ演奏する以上に、「男らしさ」を際立たせて見せる逆説的な効果があるのだね。

「逆説的」な表現手法はなにをもたらす?

言語学的な手法で言えば、反語というのがこれに相当するね。「誰がこの私を愛してくれるだろうか?(いや、誰も愛してくれはしない)」という表現は、「誰も自分を愛してくれない」とただ述べるのとは異なる、もっと深い意味を生み出すことができるんだ。
この表現を用いるからこそ、「愛されるはずがない」と認識しながらも「愛されることを願う」非常に人間らしい葛藤や、二面性を描き出すことが出来るのだよ。

ヴィジュアル系の性質

これが関係するのか否かは分からないが、私が観察する限り、ヴィジュアル系のバンドマンや、ヴィジュアル系好きな人、というのは表面的なものよりも、より根底にあるもの、核になるものを感じ取る能力に長けた人が多いように思う。

そして、「喜怒哀楽の感情や人間の二面性を究極まで際立たせて見せる」手法は、ピカソを始めとするキュビズムの画家たちに通ずるものがあるね。そういった意味ではヴィジュアル系の音楽は非常に前衛的、かつアート的な側面が強いものだと私は思っているよ。

まとめよう

ヴィジュアル系は究極のあまのじゃく。
ただ「逆」を歌うのではなく、「逆の逆」を歌う二重の捩れ構造を持つ性質がある。

さぁ、聴衆諸君。今回の考察ご納得いただけたかい?
ご意見があれば、是非コメントを残してくれたまえ。
他でもない君の言葉なら、喜んで耳を傾けよう